フライトを終えた航空機は、休む間もなく次の目的地に向けて準備を始めます。給油や荷物の搭載など、地上でせわしなく準備が進む光景はよく見られますが、航空機の機内でも着々と用意が進んでいます。
客室スタッフの業務は機内の清掃と点検、備品を整えることが中心。お客さまがすべて降りた後の機内はピンと張りつめた空気が流れ、1チーム15名前後のスタッフが1分、1秒を惜しむように一斉に座席一つ一つを整えていきます。
シートまわりのゴミを片付け、ヘッドホンやブランケットなどの必要備品を用意し、機内誌を揃え、シートベルトを整え、テーブルを拭く……。これらの作業は役割を分担して行うチームプレーです。
一つ一つの作業を行いながら、さまざまなところに目を光らせ、指先を好感度センサーのように働かせています。小さなゴミはもちろん、機材の異常も見落とさないためです。
そしてもう一つ、客室スタッフにとって重要な仕事があります。それは機内放送の準備。フライト中にニュースを機内で放送するために、空港内のダビングルームで最新ニュースを録画し、各航空機に積み込みます。これも快適な空の旅をお届けするためのツールの一つです。
すべては、次に乗るお客さまが気持ちよく、くつろいで空の旅を楽しめるために……。それが客室スタッフの業務なのです。
日本国内で1日の離発着数が最も多い羽田空港。とくに国内線では到着後、次の目的地への出発までの時間がごくわずか。着陸後の機内では、次のフライトに向けお客さまを迎え入れる準備が急ピッチで進められる。
「羽田空港の国内線は出発までの時間が短い便が多く、タイムププレッシャーを感じながらの仕事ですが、絶対にミスはできません。周囲の状況を的確に判断し臨機応変に動く必要があるため、常に自分を律しミスがないように気を付けています。」厳しい中にも常に笑顔を欠かさない平田 彩夏だ。
機内では作業指示を出す立場になった今も、「あの時ああしておけば、より効率的で確実な仕事ができたのでは」と考える。どんな時でもプロ意識は欠かさない。
学生時代に航空機に乗るときは留学時など特別な時。自身の中で航空機の旅が節目節目でとても思い出に残っている。
「私がそうだったように、航空機をご利用されるお客さまには思い出に残る空の旅をしてほしい。今度は私が思い出に残る空の旅のお手伝いをしたい。」そう思ったのが航空機のそばで働きたいと思ったきっかけだ。
その中でJGSグループを選んだ決め手は、就職活動中の人事担当者が採用担当としてではなく、いち個人として自分の話を聞いてくれる姿勢がとても素敵で全社員がJALフィロソフィに従い1つの目標に向かって進んでいる一体感にとても感銘を受けたからだ。
着陸後の機内に目を向けてみると、客室スタッフが次々に席を移りながら、流れるように作業をしている。シートベルトを整え、座席周りポケットの清掃・機内誌のチェック、そして同時に座面のゴミを床に落とす。ここまでの作業は、1席で約5秒程度。この作業と並行して、機内の床は別のスタッフが隅々まで掃除機をかけている。
「客室内はきれいなことが当たり前であり、私たちの仕事はその当たり前を確実に作りだす仕事です。一席、一席、座席を利用されるお客さまのことを想像して仕事をしています。そう思うと一切の手抜きはできません。」そう語る口調には強い決意が感じられた。
「JGSグループの指差呼称をはじめとした各作業は他のエアラインと比べても非常に素晴らしい」2020年、JGSグループはIATA(国際航空運送協会)から地上作業に関する安全監査の認証(ISAGO認証)を取得した。
平田は語学能力を活かし、この認証取得にあたり監査官との通訳を務め、その際に監査官から言われたのがこの言葉だ。このような言葉をいただける会社で仕事ができていることが大変誇らしかった。
「JGSグループの良いところは、様々な人と一緒にチームとして仕事をするなかで、先輩・上司の垣根がなく一体感があるところ。」と平田は語る。
今後はチームとしての一体感をより高め、世界一のグランドハンドリング会社を目指し精進していく。
「自分が作業した便にお客さまが実際にご搭乗されているのを見たときに、自分の仕事が役に立っていると実感し、とてもやりがいを感じました。」また自分が実施した作業に対し客室乗務員や整備士などが、“ありがとう”と感謝の気持ちを積極的に伝えてくれることが多く、JALグループで仕事ができることに、誇りとやりがいを感じている。
「今後の目標は、JALを選んでいただいたお客さまに、さすがJALだと感じていただける機内環境づくりに努め、JALファンを増やしていきたい。品質向上につながる部分はどんどん自分で変えていきたい。」そう平田は語った。
将来的には語学力を活かし、海外での仕事やJGSグループの良さを内外に広く発信したいという。平田の目はJGSグループの明るい未来を見ているようだった。